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暗殺(あんさつ、英: assassination)とは、政治的影響力を有する人物を秘密裏に殺害することであり、テロリズム行為の一形態にも分類される、単なる殺人とは異なり、社会に対して影響を与える目的で実行される。必ずしも通常の殺人と暗殺を完全に区別できるものではなく、個人的動機の強い暗殺もありうるが、その場合にも政治的な緊張感の高まりや政治的不安といった要素は共通している。
また、暗殺のターゲットとなる要人は、国家元首や政府首班などが普通であるが、対立政党の党首や財界の指導者などが対象となる場合もある。assassination は麻薬の一種であるハッシシを飲んだ人を意味するhashshāshǐnが語源であり、ハサン・サッバーフが部下にハッシシを与えて政府要人を殺害させたことに由来する。なお、ケンブリッジ英英辞書では、assassination は、要人の殺害と定義しており、政治的目的に限定していないが、英語圏の『オックスフォード現代英語辞典(OALD)』および米語圏における『ウェブスター英語辞典』は、特に政治的目的での殺害のことを言うと定義している。
● 分類
暗殺には、権力者が加害者側のものと権力者が被害者側のもの、白色テロと赤色テロなど様々な区別がある。古くは、紀元前336年のピリッポス2世の暗殺や、紀元前44年のガイウス・ユリウス・カエサルの暗殺が著名である。
・ 2013年1月19日 - ブルガリアの首都ソフィアで権利と自由運動の党党首アフメド・ドアンが壇上で演説中に男に拳銃を突きつけられるが不発で未遂に終わる。犯人であるトルコ系ブルガリア人のオクタイ・エニメーメドフはその場で取り押さえられ逮捕された。
・ 2022年8月12日 - 小説「悪魔の詩」の作者、サルマン・ラシュディが刺される(サルマン・ラシュディ刺傷事件)。
・ 2022年9月1日 - クリスティーナ・フェルナンデス・デ・キルチネル暗殺未遂事件
・ 2023年4月15日 - 岸田文雄首相が和歌山市雑賀崎漁港にて演説を始める直前に爆発物が投げ込まれるも、岸田は直後に避難したため未遂に終わる(岸田文雄襲撃事件)。
● 国家による暗殺
現代において、国家・組織による暗殺を公に宣言している国・組織と元首。
・イラン - ルーホッラー・ホメイニー (小説「悪魔の詩」の著者サルマン・ラシュディとその訳者に対して。その宣言はファトワーと言い、宣言者にしか撤回できない。ホメイニーの死去によってその宣言は永久に解かれる事は無くなった。)
・アメリカ合衆国 - ブッシュ大統領 (イラク戦争に際し、フセイン大統領とその政権幹部に対して)
・イスラエル - シャロン首相、アビ・デヒテル(Avi Dichter)警察相 (パレスチナの過激派組織の幹部に対して。デヒテルは選挙で選ばれたハニーヤ首相も対象に挙げている)
● 有名な暗殺疑惑
・ 976年11月14日(開宝9年10月20日) - 宋皇帝趙匡胤(太祖)。
・当時太祖は病床に伏せっていたが、弟である晋王・趙匡義が見舞いに駆けつけるなり太祖の死が公表された。太祖の遺言で晋王は跡を継いで皇帝となったが、太祖には実子がいたために、その遺言や死の経緯に疑義が持たれた。この疑惑は宋朝一代の後も長く囁かれ、千載不決の議と呼ばれる。
・ 1718年11月30日 - スウェーデン王カール12世。
・ノルウェーの要塞で狙撃されたものの、ノルウェー側の関知しない銃撃であった為。味方からによる狙撃の説もある。また1994年以降、暗殺説が浮上している。しかしながら黒幕が不特定な為、暗殺説否定も根強い。
・1946年6月9日 - タイ国王ラーマ8世。
・宮殿で銃の暴発により死亡とされているが、状況に不明な点が多く、当時の警察が検死結果から他殺説を示唆するなど、暗殺説がある。一説には旧日本軍参謀辻政信が関与していたともいわれるが、当時辻は中国にいたとされ、真相は謎のままである。なお、現在でもタイ国内でこの事件について触れるのはタブー(不敬罪にあたる可能性があるとして)となっている。
・ 1983年1月9日 - 中川一郎衆議院議員
・中川の死から5日後の1983年1月14日、東京のソ連大使館からモスクワに宛てたKGBの暗号電報に、ソ連のスパイであり、テレビ朝日専務だった三浦甲子二の話として「中川は明らかに他殺だ。CIAの手先に消された」と記されていたことが明らかになっている。ほか、「鈴木宗男はCIAと結託して中川を収賄疑惑に引き込んだ」との記述も確認されている。
・ 1991年7月11日 - 筑波大学助教授五十嵐一(悪魔の詩訳者殺人事件)
・筑波大学内で刺殺された。犯人は捕まらなかったが『悪魔の詩』翻訳者であることからムスリムによる暗殺という見方が強く、あるイスラム教国からの留学生が容疑者としてたびたびメディアに取り上げられた。
・ 1996年4月14日 - 相撲界の八百長を告発した高鐵山孝之進と橋本成一郎が同じ病院で同日に全く同じ病気で死亡したため、日本相撲協会の利権関係者による暗殺説が囁かれた。
・ 2001年6月1日 - ネパール国王ビレンドラら王族の銃殺事件(ネパール王族殺害事件)。
・宮廷晩餐会の席上、皇太子ディペンドラにより銃撃され死亡したとされた。だが、実際は王位を継承した王弟ギャネンドラによるクーデターとの見方がある。
● 法律
日本においては、民法第90条(公序良俗法)で公の秩序に違反する殺人などの依頼は無効である。また、刑法202条自殺関与・同意殺人罪で依頼されて殺人を行う嘱託殺人(英語:Contract killing)に対する刑が規定されている。
◇プロファイル
:暗殺を企てる人間は、衝動的に無計画な考えで暗殺を行うことはめったにない。綿密な暗殺計画を練り上げ、暗殺への訓練に長い時間と労力をかけている。
:その一方で、行為に至った人間の25%近くは妄想から暗殺を行っている。ターゲットに近寄る前に逮捕された人間では60%に上昇する。実際に成功した計画に対して、妄想的な人間は逮捕されやすく対処が可能であることが示されている。また、攻撃者の3分の2に前科がある。44%に精神疾患があり、39%に薬物乱用の病歴がある(要するにまともそうな人の方が計画する割合が多い)。
・ ファリサイ派
・ 暗殺教団
・ マーダー・インク
・ 血盟団事件
「暗殺」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』(https://ja.wikipedia.org/)
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